ケロッグから学ぶワークシェアリング【コラム】

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I was so overloaded with work that I am conscious that very littlw, if any of it, was performed satisfactorily.

– W.K. Kellogg, Entrepreneur and Founder of the Kellogg Compny

消費が美であるとされていた期間は半世紀以上にも及ぶことで、今も続いていることを考えれば、途方もないんですね。ここ近年で見えかけているパラダイムシフトは、もちろんこれから先の未来をリニューアルしてくれることは間違いないことなのですが。

「シェア」の概念が取り入れられる、まさに消費時代の真ん中から、「このまま続いていく、消費時代には未来がない」と問い始めた人はいたりもします。それが、皆さんもご存知、コーンフレークの創始者W・K・ケロッグなのです。彼は、従業員を雇うシーンから、他の企業とは異なる形態で取り組みを続けてきたみたいなのです。

ちょうど大恐慌がはじまった1930年。1500名もを従業員として抱えているケロッグは、これまでの8時間労働を、6時間へと変更したといいます。8時間労働を三回転させるよりも、6時間で4回のシフトを組んだ方が、バトルクリークに住む300もの世帯主が職を得ることができて、家族を養えると考えたのです。

この考え方は、こちらのコラムでも取り上げたワークシェアリングの考え方そのものではないでしょうか。いま、問われている働き方を80年も前に取り組もうとしていたんですね。考え方というのは、変わらないものです。そして、タイミングによって、全く世間からの捉えられ方が変わってくるものなんですね。

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ベンジャミンハニカットはその著書「ケロッグの6時間労働(Kellogg’s Six-Hour Day)」の中で、ブラウンとケロッグは「自由市場でのモノやサービス、そして労働の自由な取引は、必ずしも我を忘れてしまった消費や、労働者と天然資源の搾取につながるのものではない」ということを証明したかったようです。

ワークシェアリングとは、仕事を分かち合うこと。1人当たりの労働時間を短縮することで、社会全体の雇用者数の増大を図る考え方。1人当たりの賃金を下げてでも雇用を確保し、失業者を減らすことが主な目的。すでにドイツ・フランス・オランダなどEU圏の一部で実験的に導入され、オランダのように大きな実績を上げている国もある。しかし、日本では、独自の雇用環境などがあるため、必ずしも普及しないというのが一般的な考え方である。雇用保険、労働者災害補償保険(労災保険)など雇用時にかかる経費の高さなどが導入の進まない原因のひとつとされている。

(出典): 枠シェアリング – コトバンク

ケロッグが社会に与えようとしているインパクトの一つとして、「労働時間を減らしたからといって、従業員の給料が減ったわけではない」ということがあげられます。日本であると、どうしても時間と賃金が並行されてしまいます。それは、日本だけではなく、世界中そういう仕組みはあるのですが、とくに残業が多い、日本は顕著といえるかもしれません。

売上げと時間が必ず比例するのであれば、その考えも成立するのでしょうが、必ずしもそうではない現実を考えた場合、企業にとってもそれは損害しかありません。完全な成果報酬を取り入れることは難しいとしても、プライベートとビジネスの両輪をシェアするためには、そのような意識改革が、社会全体で必要なのかもしれません。
物質主義の歯止めは、80年の時を超えて、いま再び満場一致ではじまっているのです。

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