いま、あなたは”たった一人”でしょうか?その質問に、イエスと即答する人はそんなに多くはないかもしれませんが、なんのためらいもなく「そんなことはない!」と言い切れる人もいないような気がしています。そんな私たちが生活している日本に必要とされているのは、「コミュニティ」。
人と人との繋がりを生み出し、これを続かせる。そして、関わった人たちのそれぞれの人生を変えていく。コミュニティークリエイターである平岡雅史さんが手がけるのは、このコミュニティを広める場としての「イベント」、そして深める場としての「シェアハウス」です。
今回は、そんな平岡さんの「コミュニティ」にかける想いと、その温かさを身をもって体験することができる「絵本の国のシェアハウス」を、インタビューを通して紹介していきたいと思います。
絵本の国のシェアハウス〜canvas〜
小さな扉をくぐると、そこはまるで絵本の世界。
主人公のうさぎのラビちゃんが、森・海・空を大冒険。
そんな絵本の世界を家まるごとを使って表現した
シェアハウスが、2016年9月に葛西にOPEN!!
年間およそ100本のイベントを開催し、都内に3つのシェアハウスを立ち上げる。
平岡さんに会ってみると、彼にしかない自然と人が集まっていく優しい引力を感じることができました。どんなに答えづらい抽象的な質問をしても、目を背くことはなく真剣に考えて、ちゃんと笑顔で答えてくれる。ウェルカムな空気が、表情と言葉、一つ一つのやり取りにあるのです。
そんな、平岡さんが初めてトライした「コミュニティ」の場は大学のサークルでした。
ー コミュニティを作ろうと思って、大学のサークルを作った?
もともと、サークルから始まったんです。その時はコミュニティを作ろうとしてではなく、趣味として何か新しいものを見てみたいと思ったんです。大学に入学するために、岐阜を出て東京に来たんですが、すでにあるものがあんまり面白くなくて(笑)。なんかやりたいと思って、サークルを立ち上げることにしました。
それで、自分が生み出した場で付き合う人が出てきたり、親友ができた。そうやって、一つの気持ちから、プライベートな繋がりができるのって面白いなという感触があって。「コミュニティづくり」をこのサークルから知っていたんです。
ー コミュニティを形成する上で、大切なものの一つって「共通項」だと思うんですよね。例えば、一見全然違う人たちが集まる。サラリーマンであったり、学生、主婦、芸術家でもいいんですけど。その人たちが集まるには、”なにか”が必要だと思うんです。
ちょうど10年前はmixiが流行っていたんですけど。僕たちは「コミュニティ」の機能に向かって、イベントを企画運営をしていました。日本にいる韓国人の方が知り合う、日韓交流の場を作ったり、ルームシェアに興味がある人たちを集めたり、同年代のコミュニティをイベント打ち立てたり…。
そうやって、カテゴリー、カテゴリーで、ざっくりな国際交流や出会いパーティではなくて、何かしら一つ目的を作ってました。別に、日韓交流じゃなくてもいいんですけど、キッカケが欲しいんですよね。イベントに来るキッカケ、隣の人に話しかけるキッカケ。コアなコンセプトであればあるほど、集まりやすいんです。
ー 今までやってきた中でこれは”コア”だったと思うイベントはありますか?
珍物晩餐会というものを定期的にやっています。
ー 珍物晩餐会?
珍味の”珍”なんですけど。世界のあらゆる珍物を集めて、調理をするというイベントです。カエルの皮とか、ワニの手を食べたり、ウーパールーパーを丸ごと焼いて食べるとか(笑)。珍味というよりは、ゲテモノに近いんですけど。
あとは、「青春旅行」というのをやったりもします。学生の頃の思い出って、みんなキラキラしてるじゃないですか。社会人になると、どうしても会社と家の往復でキラキラが薄れてしまいます。あの頃が「懐かし〜」と思う人たちが多くて。そういう人たちに向けて、陸上競技場を借りて、運動会をやったりとか。給食を作って食べる会とか。
思いついたら「やる!」っていうのを意識していますね。
ー イベントとシェアハウス、似たようで全然責任も、関わってくる人も違うと思うんですが。
イベントだと、お互いが仲良くなれるのは「共通点」が特徴だと思っていて。シェアハウスになると、「違いを楽しめる」人たちが深まっていくな。違いを分かり合えなくて、良いところ、似ているところだけとって見ても、嫌なところは受け入れないというと、シェアハウスにはできないことです。
違うからこそ面白い、それを対話によって(分かり合える人がシェアハウスに合っています)。育ちの環境も全然違います、一人暮らしが寂しくて来る人もいれば、実家暮らしを抜けてみるステップで始める人、海外暮らしから入ってくる人もいます。そういう、全く違う価値観と育ちが違う人たちが集まる中で、違いがあります。
ー 今、シェアハウスやルームシェアが注目を浴びている理由の一つに「インターネット」があると思っています。SNSで発信して、シェアハウスメンバーが集められるというのもあるのですが、インターネットで育ってきて対面よりも、パソコンと向き合ってきた私たちには、実は寂しいから「もっと人と会っていたい」というのが隠れた欲望であると思っていて。こうしたシェアする暮らしなら、帰ってきてすぐに人に会えますよね。
んー…。確かに、インターネットによって人と人との繋がりは希薄になってしまっているようにも思います。しかし、人は繋がりを求めていますよね。ネット上だと、”本当の繋がり”というのを感じられない。そんな人たちがシェアハウスにこだわっているような気がしていますね。
でも、リアルって面倒臭いんですよ(笑)。ネットの方が楽です。会いたい人とだけ会って、話したい時に話せるのがネットです。でも、リアルで繋がり始めるとそういうわけにはいかないんですよね。それが面白いと思ってるんですけど、シェアハウスなら合わない人とでも暮らして、ストレスが常に生まれてます。そういう時に、対話をして人と人が分かり合うという過程が絶対に必要になってくる。
ー 対話ってなんですか。会話とは違うんですか?
対話っていうのは、僕の中では、自分の思っている感情を思いっきり伝えることだと考えています。違いといわれると、難しいんですけど(笑)。これもイメージなんですけど、会話は表面的な言葉の交わし合いで、対話は相手が発する言葉の裏の想い。「なんともないよ、大丈夫。」と言われた時に、本当はそうじゃないよねっていう、ちゃんと汲み取って話せる空間、関係性が対話なのかなと。
シェアハウスって「人生の学校」だなと思っていて、集まる人たちがそれぞれの価値観をもって入居してきます。いざこざがないことなんてことありえなくて、違う人たちが集まれば、上手くいかないことだらけなんです。普通に社会にいる中では、上手くいかないままで過ごすこともできなくはないんですが、一緒に暮らしている以上はそうはいきません。きちんと向き合って、話し合って、一歩曝け出して踏み込んで行ける関係。これをシェアハウスで築くことができれば、社会でも同じようにいろんな人たちと向き合っていけるようになるんです。
ー なるほど。これからやってみたいことってありますか?
子供が生まれても、一緒に暮らせるようなムラみたいな感じですよね。大きい団地の中で、お父さんも、お母さんも、子供も、住んでいる外国人であっても、多様性を受け入れられるようなコミュニティを作れたらいいなと思っています。
コミュニティは言葉ではなく、それは触ってみなければ分からないもの。シェアハウスや、イベントで発生する繋がりや、人間関係はそこに理由はありません。コミュニティクリエイターによって、生み出される小さな世界が、まるで人生で何気なく人と出会って、恋に落ちるようにドラマが紡ぎ出されていくのです。
そんなドラマが、また葛西にひとつ生まれます。平岡さんが手がける4つめのシェアハウス「絵本の国のシェアハウス〜canvas〜」は10月から本格的に始動していきます。そこには、シェアハウスの住人+うさぎのラビちゃんが住んでいます。ラビちゃんがシェアハウスの中を冒険するように、そこには喜びや、分かち合いそんな人間ドラマをあなたを待ち受けているのかもしれません。
絵本の国のシェアハウス ~canvas~
(絆家シェアハウス 葛西)
■アクセス:東西線葛西駅より徒歩15分
■家賃:個室47000円~/ドミトリー29000円~
■共益費:個室15000円/ドミトリー12000円
※内見希望&詳細問い合わせは下記までお願いします。
→info at kizunato.com(担当:平岡)